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梨の剪定時期と方法
梨の剪定をうまく進めるために、「最適な時期」「正しい方法」という2つの大きなポイントを押さえましょう。これらのことをしっかりと頭に入れておくことで、良い梨が作れるだけでなく、病気・害虫被害になりにくい環境づくりにもつながりますよ。時期は落葉後

剪定のコツは花芽を整理すること
梨の剪定は、徒長した枝(長果枝)を切ることが大切です。徒長とは、真上に伸びた枝や混みあった枝などのことをいいます。 徒長して無駄に伸びすぎた梨の枝を剪定すればほかの枝に養分を回せるので、おいしい梨の果実が実りやすくなるのです。剪定をするときは、横や斜めに生えた枝はなるべく残すようにします。 梨の剪定をおこなううえでのポイントは、伸び始めてから2年目・3年目の短い枝(以下短果枝)を多く残すようにおこなうことです。梨はこれらの短果枝に花芽を付け、さらに3年目の短果枝に果実を実らせるため。このとき、養分がしっかり届くように上向きに生えている花芽を残して整理しておきましょう。ただし、短果枝が多すぎると木に負担がかかりやすくなるため、注意が必要です。 また、伸びてから4年~5年経った古い枝は、枝ごと落としてほかの若い枝に養分が届くように剪定をしてあげましょう。古い枝は弱りやすいうえに花芽が多く生える「しょうが芽」となってしまうからです。 このように良い梨を収穫するためには、2年目~3年目の若い枝を残すように梨の剪定をして、果実を実らせることが大切なのです。梨の剪定後の作業
梨の剪定だけをすればよいというわけではなく、その後の作業も慎重におこなわなければなりません。梨はとてもデリケートな果樹なので、忘れずに作業をおこないましょう。ここでは、梨の剪定後に必要な作業について解説していきます。切り口の保護

誘引
誘引とは、梨の剪定後に枝同士が重ならないように、針金などで枝を固定する作業のことです。もちろん家庭内で栽培をする場合、誘引をせず立ち木のまま梨を育てることもできますが、以下のとおり誘引をするメリットは大きいのです。【誘引のメリット】
・枝の日当たり、風通しがよくなる
・病気や害虫、災害などの状況に強くなる
・大きくて甘い梨が作りやすくなる
・管理や収穫の面でかなり楽になる
梨の果実を実らせるためには人工受粉をしよう
梨の果実をうまく実らせるためには梨の剪定作業だけでなく、そもそも梨の花に受粉をさせなければいけません。ただし梨の場合、自然に受粉を任せるだけでは足りないこともあるのです。ここでは、梨の栽培をするうえで重要となる「人工授粉」の必要性と方法について解説していきます。梨は受粉木が必要

人工受粉の方法
まずは、人工授粉に必要な「相性のいい梨の花粉」を用意しましょう。梨の花粉は業者から購入できるほか、通販サイトでも売られている場合があります。先ほど解説したとおり同じ因子の花粉では受粉ができないので、購入前に必ず自分の梨との相性を確認するようにしてください。 因子が違う梨の花粉が自宅に届いたら作業にとりかかりましょう。 人工授粉方法はとても簡単で、取り出した花粉を受粉させたい梨の花の雌しべに1つ1つこすりつけるだけです。このとき、耳かきの反対側にある梵天(ぼんてん)や筆などを使用することで、効率的に人工授粉を進めることができますよ。しっかりと果実を収穫するための2つのポイント
良い梨を収穫するためには、「摘果(てきか)」と「袋かけ」という2つのポイントをおさえておきましょう。これらのポイントをおさえておくと、良い梨を収穫できるだけでなく梨の健康を守ることも可能です。摘果

【摘果の時期目安】
1回目:5月ごろの開花から約3週間後
2回目:1回目の摘果から2週間~3週間後
袋かけ
良い梨を育てるために重要なもう1つのポイントが「袋かけ」です。 袋かけとは、果実を外敵や衝撃などから守るために、直接袋をかけていく作業のことをいいます。袋かけをすることにより、外部からの衝撃による傷・病気・害虫の侵入を防ぎやすくなるうえに表皮の状態が良い梨を作りやすくなるのです。 ただ袋かけに使う袋はなんでもよいわけではなく、水をはじきやすい性質のものを選んでおく必要があります。梨専用の果樹袋は業者やネット通販で購入することもできるので、あらかじめ用意しておくとよいでしょう。袋を購入した場合は、その袋のパッケージなどに書かれている指示にしたがい、間違いのないよう丁寧に袋かけをしてください。梨の栽培管理方法|鉢植え・庭植え
良い梨を育てるためには、梨の剪定や収穫のコツだけでなく植え付け・水やり・肥料といった栽培管理方法の基本を押さえておくことも大切です。ここでは梨を栽培するときの基本的な育て方について、地植え(庭植え)・鉢植えとの違いを踏まえて詳しく解説していきます。植え付け&植え替え

■地植え(庭植え)のやり方
1.直径・深さ50cm程度の穴を掘る
2.掘った土に腐葉土と赤玉土を混ぜる
3.混ぜた土の3分の1を肥料と混ぜ、穴に埋め戻す
4.残り3分の2の土を使い、苗を植えていく
5.植え付け後、地面から50cmほど上で幹を切る
6.支柱を立てて、紐で苗を固定する
7.水をたっぷり与える
■鉢植えのやり方
1.直径30cm程度の鉢にゴロ土を入れる
2.腐葉土・赤玉土・砂を混ぜ合わせた土を1つに混ぜる
3.混ぜた土から4分の1を取り出し、肥料と混ぜる
4.肥料と混ぜた土を鉢に入れる
5.残り4分の3の土を使い、鉢に苗を植えていく
6.植え付け後、地面から30cmほど上で幹を切る
7.支柱を立てて、紐で苗を固定する
8.水をたっぷり与える
■植え替えのやり方
新しい鉢へ植え替えをするときの適期は、12月~3月といわれています。いつまでも小さい鉢で育てていると根の生長により根詰まりを起こし、生育しにくくなるおそれがあるのです。
【植え替え手順】
1.苗木を元の鉢から引き抜く
2.古い根・腐った根を切り取る
3.新しい鉢にゴロ土・肥料を混ぜた土を入れる
4.新しい鉢に苗木と土を入れる
5.水をたっぷり与える
水やり
地植えで育てている梨は、基本的に水やり不要です。全く雨が降らない状況を除いて、自然に任せるようにしましょう。ただし、鉢植えで育てている場合は「表土が乾いているのを確認」したときにたっぷりと水を与えるようにしてください。 また収穫時期が近づいてきたら、水やりの頻度を減らすようにしましょう。そうすることにより、果実の甘みを強めやすくなります。肥料
肥料を与える時期によって、樹木の生育や果実の味が大きく変わることもあります。おいしい梨が実るように適切なタイミングで肥料を与えていきましょう。基本的には、以下のタイミングで年2回~3回肥料を与えていくのがベストとされています。【時期/適切な肥料】
12月:緩効性の有機肥料
3月:速効性の化成肥料
収穫後の9月~10月:緩効性の有機肥料または速効性の化成肥料
果樹栽培で気を付けたい病気・害虫
基本的に、果樹栽培をするうえで病気・害虫対策は必須です。とくに梨の場合は病気や害虫被害に遭いやすい果樹のため、なおさら気をつけなければなりません。「数年じっくり育てたのに病気・害虫のせいでダメになった……」とならないように気をつけていきましょう。 ここでは、梨を育てるうえで気をつけるべき病気・害虫について解説します。病気

【病気名/症状】
黒斑病:実・葉・枝など樹木全体に黒いものができる
黒星病:葉や実に黒いススができる
赤星病:葉や実に黄色やオレンジの斑点ができる
胴枯病:木の幹や枝が枯れてしまう
炭疽病:葉に炭のような斑点ができる
輪紋病:実に輪のような模様ができる
紋羽病:根にカビが感染して腐敗する
黒星病:葉や実に黒いススができる
赤星病:葉や実に黄色やオレンジの斑点ができる
胴枯病:木の幹や枝が枯れてしまう
炭疽病:葉に炭のような斑点ができる
輪紋病:実に輪のような模様ができる
紋羽病:根にカビが感染して腐敗する