
緑が美しい季節になってきました。この時期になると、お庭での楽しみが増えるでしょう。
園芸やガーデニングが趣味という方にとっては、おなじみかもしれませんが、剪定には切り戻しという作業があります。
手間ひまかけているそのお庭、やっぱり素敵な状態で維持していきたい!という願いがあるかと思います。
そんな願いを叶えるべく注目したい切り戻しは、植物の生長を促す、一定の大きさを維持する、形を整えるなどの効果があります。 お庭をきれいに維持したい、花を沢山咲かせたいというときは、必須の作業とも言えますね。
今回は、切り戻しの適切な時期や、方法などの基本的事項を確認していきます。
切り戻しはなぜ必要?
植物は自然に育つのに任せていると、どんどん上へ上へと成長していきます。そのまま脇芽を伸ばさないで成長を続けると、花のつく部分が先端だけになってしまい、咲く花の数が少なくなってしまいます。そこで植物にたくさんの花を咲かせたり、形を整えるために行う作業の一つが「切り戻し」です。
植物は茎や枝の上の部分に生えている芽の方が、下の部分で生えている芽よりも優先して育つという特徴があります。
オーキシンという物質が、下の部分で生えている芽の成長を抑制することから起こる現象です。そこで茎や枝の先の部分を成長過程で切り、摘みとってしまうとオーキシンが供給されなくなり下の部分の芽が生長を始めます。
適切な切り戻しを行うことで、花の数を増やしたり、花を可愛らしく小さくまとめたり、風通しをよくしたりすることができます。
植物を美しく整えるために、切り戻しは欠かせないお手入れの基本です。
植物のお手入れといえば剪定を思い浮かべる方も多いと思いますが、剪定は植物の枝を切り取ることにより直接見た目を整えたり、植物の生長を促すことを示します。
枝が密集している部分から、不要な枝を切り取って外見を整える際に行われます。不要部分を切り取る剪定に対し、切り戻しは伸びた枝の先を切り取り、そこから新たに枝を伸ばして生長させるために行う作業です。
切り戻しの適切な時期

では、切り戻しを行うのはいつが適しているのでしょうか?
切り戻しで枝を切る際は枝が乾燥している方が切りやすいため、晴れた日が適しています。枝の切り口が湿った状態で切ってしまうと、病害虫がつきやすくなり植物が弱って枯れてしまうことにもなります。
切り戻しを行うタイミングは主に下記の3つです。適切な時期のポイントを押さえて切り戻しを行いましょう。
1.要らない枝が多く伸びてきた時
枝が多くなり繁ってしまうと、植物の風通しが悪くなってしまいます。周りの枝や茎が生長する際の妨げにもなってしまいますので、切り戻しを行いましょう。2.花が咲き終わりを迎えた時
花が咲き終わったら、花の部分の下で枝を切って花を切り落としましょう。もしくは花が咲いていた枝元から切るのも有効です。既に咲き終えた花が残っていると、根から養分を吸い上げてしまいます。花の盛りを過ぎたら、思い切って切り戻しをしましょう。3.休眠期から活動を再開する時
植物は自分が生長するのに適さない環境の時に、一時的に活動を停止します。この期間を休眠期と言います。この休眠期から目を覚まし、植物が生長を再開する時期に切り戻しを行うと、新しい枝に栄養が行きわたり形の良い花を咲かせるようになります。また、植物によって切り戻しに適切な時期やタイミングはそれぞれ違いますので、お手入れされる植物に合った時期で切り戻しを行うことも大切です。
切り戻しの方法とは?
切り戻しは、枝の途中もしくは枝元で不要な部分を切り落とします。枝を全体の半分から先端の三分の一あたりで切り、樹幹を保ちます。あまり枝を多く切りすぎると、切った部分から細かい枝がたくさん出てくるため、植物の形が思い通りになら ないことがあります。
切り戻しで切り落とした方が良い枝は以下のものです。
1.やご・ひこばえ
根本から生えている小さな枝です。放っておくと、本体の養分を取られてしまいます。2.徒長枝(とび)
極端に長く直線的に飛び出す枝です。そのままにしておくと、小枝が発生して内部に光が入りづらくなります。3.車枝
幹の一か所に、複数の枝が輪っか状になって伸びている枝です。放置すると、植物の見た目が悪くなってしまいます。4.ふところ枝
枝の内部から出ている小枝で、いずれは枯れる枝です。5.平行枝
上下二段に平行に重なって伸びた枝です。枝のバランスを悪くしてしまいます。6.絡み枝
枝が交差している部分をさします。必要な枝のみ残して切り落とす処置をします。7.胴吹き枝
幹から細かく多数出ている枝です。植物の美観を損ねます。8.下がり枝・立ち枝
真上または真下に向かって生えている枝です。植物のバランスを悪くします。9.内向枝(返り枝・逆さ枝)
幹の方へ向かって内側へ伸びている枝を指します。他の枝の成長を妨げます。他にもあるいろいろな剪定

切り戻し以外にも植物を整える方法として、色々な剪定方法があります。例えばパキラは長時間日陰に置いておくと、枝だけが長く伸びすぎてバランスが悪くなります。悪くなってしまったバランスを整えるためには、切り戻し以外の剪定が必要です。
1.刈り上げ・刈り込み
全体を均一に刈り込み、植物の形を整えます。ペチュニアや宿根バーベナのように、花壇に群生して同じタイミングで一斉に花を咲かせる植物に適しています。全体的に草丈の半分まで刈り込むことで、脇芽を生長させます。生垣やトピアリーなどで、植物の表面を刈り込み植物の高さや形を整えます。刈り込みバサミを使用して作業を行います。
2.透かし剪定
伸びすぎて混みあった枝を程よく透かして植物の状態を良くする剪定方法です。細かい枝を切り落として風通しを良くし、日当たりを改善させることにより、植物の形を整えます。大きく育ち過ぎた植物をコンパクトにまとめる目的で行うものは強剪定と言い、枝先に伸びている不要な枝を切り落とす作業は弱剪定と呼ばれます。
3.みどりつみ・芽摘み
みどりとは新芽の事を指します。新しくでたみどりの不要な部分を折って、枝が欲しい所は軽めに追って残しておく作業のことです。 芽摘みは新しく出てきた新芽を手で積み上げ、枝の生長を抑制します。名前の通り、春に芽吹いた芽を摘み取ったり、切り取ったりする作業です。
芽摘みを行うと、枝を増やすだけでなく、葉の数が増えるので光合成が盛んになり、樹形を整え植物の生長が良くなります。
まとめ
植物は自然のものですが、人が少しの手間をかけてあげることで、よりたくさんの花を咲かせたり、綺麗な形に整えてあげることも可能です。
しかし、植物の種類ごとに方法や時期も微妙に変化するため、正しい方法をしっかりと理解してから行うことが大切です。間違った方法で行うと花が咲かなくなることや成長を妨げる恐れがあるため注意が必要です。
植物の形がなかなか希望通りにならないとお悩みの方は、剪定のプロへ依頼してみましょう。
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